最近ネットで、来年からGDPの計算体系が変わり、企業の研究開発費がGDPに加算される様になる事について、妙な話を色々と目にする。
新しい計算体系導入するせいで、来年物凄い経済成長をするというものだが、それは有り得ない。
新しい計算体系導入するせいで、来年物凄い経済成長をするというものだが、それは有り得ない。
現在のGDPは、1993年に国連が決めた93SNAという計算体系により、計算されている。
93は1993の93で、SNAはSystem of National Accounts(国民経済計算)の略。
SNA……国民経済計算というのは、色んな国の経済活動を比較し易いように、国連が決める基準くらいに思っておけばいい存在。
昔はGNPというので世界の経済活動比較してたけど、それが使われなくなったのは、この93SNAによりGNPが廃されてしまったせいだったりもする。
日本の場合は2000年に、それ以前の68SNAから93SNAの基準に計算方法を切り替えたのだが、同様の切り替えが、来年また行われる。
2008年に制定された2008SNA(そのまんまのネーミングだが)を、2016年から日本も導入する訳である。
2008SNAになると、これまで計算には含まれなかった民間企業の研究開発費が加算され、GDPが3~4%増えると言われている。
増えるのは事実なのだろうが、来年以降だけでなく、過去のGDPも一定の範囲で再計算される為、全体的にGDPが上にシフトするだけであり、来年いきなり凄い経済成長をする訳では無い。
過去の例でいえば、日本は2000年以降、68SNAから93SNAに切り替えられたのだが、
この内閣府のサイトを見れば分かる通り、68SNAの時期である1999年以前のGDPが、93SNAで計算し直されている。
計算体系が変われば、過去のデータにも新しい計算体系で計算され直す訳だ。
新しい計算体系で計算し直された過去のデータに基づいて、経済成長率なども再計算されるので(余り昔には遡れないが)、来年発表の経済成長率が、いきなり凄く伸びたりする事は無い。